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しゃばけ

しゃばけ

薬問屋大店長崎屋の一人息子一太郎は、夜中出かけた帰り道、屍にであう。驚いた一太郎は一目散に逃げ帰ってくるんだけど、次の日に岡っ引きから聞いた屍とは場所はいっしょなのに様態が全然違うこと、そうして、その被害者の持ち物について変に思う。
ある日、店に男が現れ、足りるお金を持っていないのに生き返らせることの出来る薬が欲しい。と一太郎に迫る。長崎屋は大店なので、実は効かないけど、みんなが効くと思っている高価な「木乃伊」があるので、迫られた結果それを見せるが違う。といって、一太郎や手代たちに迫る。ようやくその男を取り押さえて、見ると男はさっぱり訳のわからないことをいう。こちらにも不思議に思っていた矢先、薬問屋の子息ばかりが狙われる事件がおこる。


しゃばけは娑婆気のことだそうで、読んでみると犯人は(人じゃないけど)娑婆気を出した結果の犯行だった。
人じゃないものが犯人なのでコワ〜い話か。と思いきやそんな話ではない。
殺されるほどの思いをしても、ほとんどみんな我慢しちゃってるか、そんなの恐怖ではないのか、詳細は語らないからだ。
作者は漫画家ご出身ということで、彼女の頭には血飛沫とか断末魔の叫び、刀の切り裂き音なんかがとどろいていたのかもしれないけど。


むしろ話は一太郎のことに重きが置かれている。
出生に秘密があるとか、幼き頃より祖父が妖を傍につけておいたとか、大店の息子である上に、身体が弱くて外に出してもらえなかったこともあって世間知らずとされていた。が実は聡明な子で立場をわきまえる立派な子であるとか。


薄気味悪いきがしないのは、妖たちがみんな一太郎の味方で、心配性だからなんだと思う。
読み物として、いわゆる「サクサクっ」と読めちゃうところがいいのだろうなぁ。