吾妻ひでお 失踪日記


を読む。
話題の本だったので・・吾妻さん自体というより口コミに乗ってしまった。
スゴイとか書いてるんだもんコメントに。
でも、やっぱり壮絶とかこの人自体だとかいろんな意味でスゴイかも。
失踪日記とり・みきが巻末対談で吾妻さんのこの本は内容の壮絶さだけが取り沙汰されているけど、漫画としての完成度も高い。のようなことを書いていたと思うけど、いろいろ考えてスゴイと思うんだから、噴出しと絵というコマ全体がそういう雰囲気を読ませるこの作品の完成度がスゴイということなんだろうと思う。


まず率直に、人って、人が健康でいるって、おそらく、死なないように生きる時なんだと思った。
なんにも考えないの。死なないようにする以外。
そうして生きる術を身に着けていくとある一定の時に死なない以外の「欲」が出てきて健康じゃなくなるのかなぁと・・
お金何にもなくても、野生(なんだよね一応)のダイコンとかキャベツ(多分掻っ攫ったんだよね)食べる。
そうして人が行き来をしない時間にゴミあさって食べて
(そのゴミも段々街中に出て行くようになって弁当の残りとか、居酒屋の残飯だったりするうちに「ゴージャス」になってゆくが)
生きている時がなんか一番健康そうに見える。
凍死寸前になったこともあるというが、ぼろぼろのものとかでも身体を包むものとか雨露を凌げる物を探してきたりして、死なないことを考えて生きてゆく吾妻さんは、逆に逞しくも見える。
それから、吾妻ひでおって基本的に人種が漫画家なんだな。と思った
吾妻さんって自殺未遂やアル中になったり失踪したりするんだけど、それはそれで波乱に跳んだ吾妻さんという人の生き方でいろいろあったとはおもう。
でも、夢は何もなくなってしまったのであろうが、基本的にはひどく悩んだり落ち込んだというより、簡単にやめてしまおうのように、特に理由がなかったと漫画では読める。
2度目の失踪中ではガスの配管工やってて、面白くなってきたのはいいけど、漫画描いてそれが、ガス会社に採用されちゃったり、怒られてても自分は(主は)漫画家だから別にへっちゃらとか言ってるし。
でもって、漫画家としてまた戻ってきて、同人誌も書いたりしている。
結局基本的には漫画家であることをやめたくていろいろしてしまったわけではないのだ
(世の中のこういう人たちの大半はやっぱり特に理由がないのかもしれないが。)
そして、逃げて入り込んだアル中患者の世界とかでも、なんでも、その世界にどっぷり浸かりこんでいるんだけど、どこか漫画家でいる、それも人を笑わしてやろうというように、ギャグ漫画家でいてその世界を面白おかしく客観視しているんだよね・・たぶん。(えらそうだけど)ずれた中毒者っていうかさ。ずれたホームレスっつうか。


アンテナないとつらいなぁ〜