30.31

破弾 (中公文庫) 堂場瞬一『破弾』
虚貌雫井脩介『虚貌』

これで、とりあえずひと段落。
あとは連絡待ち。


それぞれの感想は近日中にグループで・・
(え〜とこれで・・5冊ぐらい・・ひぇ)
ほとんどイッキ読み。
最近、某大作家の捕り物を読んで思ったんだけども話が
事件の痕跡→捜査→犯人特定→そうして捕獲など。
って感じで「淡々」と進んでいって、主人公の思いつきとか思い込み如何で犯人が決まってしまう。という感じがしてしょうがなかった。


この2作を読んで思ったのだけど、いつからなのか、あるいはテレビ(ドラマ)の影響があるからなのか(小説に脚色という型)最近はこの捕り物のように「捕り」に重きが置かれず、また、捕る人間の犯人を嗅ぎ取る感覚の絶対がすくないと思う。
替わりに、破弾のように、祖父も父も警察官という押しも押されぬ一家で自分もそうなったけど、事件に加担して自殺した、ずっと尊敬してきた祖父を目の当たりにして、自分の人生が一変してしまうという主人公が、何が正しいとかしてよいことだとかわからなくなってドツボにはまってしまって、自分の気持ちに正直に突き進めなくなり、犯人を殺して初めて自分を振り返ることが出来るようになる。というもの
とか
虚貌のように犯人を捜す側と被害者側が出てきて、そこから話を進めていくんだけど、犯人が犯人になってゆくまで、被害者が被害者になってゆくまでの事柄に重きが置かれていて最後に犯人が像となって現れるという、もの。
あとは、犯人の残していった痕跡がとても難しいとか犯人の心理、捜す者の苦悩とかに商店をあてたもの
なんかがとても多いような気がする。


実際。被害者も加害者も探す方も人間であるだけにそちらの方が面白い。例えば虚貌のように加害者が当初は被害者でその虚貌を作り出す原因となった事件があったんだけども、その直前の家族の普通の生活を表現しているほうがリアリティも高いと私はおもうし。

まぁまぁ、それにしても虚貌は面白かった。
業と因果応報の交じり合い。っていうか。
刑事と犯人の関係は業と業(ごう、と、ぎょう)って感じにも捉えられるし。
クライムノベルという風に書かれているものそれなりに読んではいるけど、これはかなり私的に面白い。
雫井さんはオマージュというかインスパイアみたいのがあるのかなぁ。犯人に告ぐは鮫島の感じがしたし。虚貌はどこがどう。っていうのはまだ、まとまってないけど永遠の仔とか白夜行を彷彿とさせる。