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だれかのいとしいひと (文春文庫)  角田光代 
  『だれかのいとしいひと』


過去のある時点をふとしたことで、遡って、思い出して、振り返ってみる。
で、そのときの事とか、人とのかかわり、つながりは、偶然の重なりだとか、乗り合いバスのある一定区間乗り合わせただけで、自分自身は何度も脱皮したけど過去からずっと繋がっている存在だと、自分を探し出して安心したり、行為、思いに理屈を付ける。
という短編。

何気なく、過去を思い出して「ああ。そういうことか」と納得するとか心が決まるというのはやっぱり、今のある事象に繋がる自分を探していて見つかったということだと思う。
この作者が人気なのは、そんな風に自分を探す登場人物に読む側が同調しやすいという点にあるのだと思う。
世の中にこのような小説は数あれど、角田さんの作品は、暗くもなく、☆ときめき☆もなく、甘々でもなく超自然ですらない。
むしろ淡々としていて、それが明確な事実でないにしても、はっきりと登場人物の心の中には存在する。
そんなところが同調し易いのだと思う。

(でもってまた別なの読んでる・・けど♡)