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人生ベストテン

人生ベストテン

自分以外の誰とも共有できない素の部分を出してしまうという意味では同じ(考えたら小説はみんなコレかもね)モノを2冊読みました。
(もう1冊は別な日に)


前ばかり見ていた自分がある日、突然、出会った人によって、またその出会いが「ちょっと」びっくりするようなものだったので、出会いに意味を考えるようになっていく。
その結果、流されたり、避けていたり、留め置いたりしていたあることに、その人独特の考え方で解釈して納得してしまう短編。


この作品の中で好きだったのは表題作、「人生ベストテン」
相当以前の失恋の相手にクラス会で会えることになって、とってもめかしこんで行き、運よくその男に誘われてラブホテルに行くんだけどうまくいかない。
そうして男と話しているうちに結婚したい相手がいるんだけどしただけで、何か持っていてそれに縛られるような気になってしまうのでいやだ。という、「うそ」をつくんだけど、自分の今の状況はそういうものだという風に納得してしまう。
でもってその男突然この主人公になべを売って料理上達したらここに電話してご馳走してね。
といってなべを売り、なんとこの主人公はこのなべで料理が上達するんだけど、いざこの男に連絡をとろうとしてもとれなくて、だまされたのだと知る。
でも、この主人公ここをそうしてこの失恋を13歳の遠い昔からこの男が会いにきてくれたといってなっとくしちゃう。んだよね。

ここが、とても可愛くていいんだけど、それまでの主人公の人生ベストテンの1位か2位に入っていたこの大失恋が、20数年前のことで、それがそのまま心の中で片付けられないで残っているんだよ。(その辺のありえなさが非日常といえばそれまでだけど)
イヤな事1位とか2位とかだったらもっと別な事もあるような年齢なのに・・

これって、大人になったからといって別に大したことがあるわけでもないし、社会人になったからといって特別すり減らすことがあるわけでもないということで、
人の敷いたレールの上をそのまんま乗っかってきて、山も谷もない。
という生き方をしてきたのではないか。
でもってこれは、そんな中でちょっとだけある、「どきどきわくわく」であったのではないか。
だから、ちょっとだけ「入れ込んだ」のだから忘れないで残っているし折り合いも付けられないということかも?
という風に考えると妙に自分に思い当たる節があるし、あたしは普通のひとってこうじゃないの?っておもう。
きっと。そしてずっと考えていたことだけど角田さんはやっぱりこういうところがとても上手で人気の秘密なんだとおもう。それに対してこういう解釈するというのも面白いし。


書かなくなっちゃったら困るのでちょこっと・・
あたしの大切な新堂センセの「動物記」よんでるんだけど・・
動物の話と思いきや
『新堂作品』然で。