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どこにでもある場所とどこにもいない私

どこにでもある場所とどこにもいない私


2冊目は村上龍
最近小説書く以外でも非常に精力的な先生ですけど、
読んでみて「希望の国エクソダス」とか「半島を出でよ」を読んでみたくなってしまった。
面白かった。

あとがきで書かれているように
閉塞感の中での希望をどこにでもある場所を舞台にして時間凝縮の手法を使って書いてある短編。
どれもあたしは好きで、それは、そういうよりも、どれも読後に人物たちのことについて考えてしまって先に進めなくなってしまったというのに近い。


登場人物たちは、進む時間を、自分以外の状況を「よそ」にしているが如く気にせず独自の思いを表出する。
それはどこかの方に向いてはいるのだけど表出で終わってしまってそれに伴う感情がニュアンスとして感じられる以外ほとんどない。
誰にも聞き届けられないし、別にそれでもいい、もしくは気にも留めていない。
けど、心の中に漫然とある思いのような。
つまり、自分だけの中にある。という「共有できない」個別の希望。
そういう意味で閉塞しているし開放されてない思いが各話の中に描かれている。


こういう中で希望って、開放なんだろうなーと思う。
希望だって持ったって自分の力量なんて限られているから、自然と後ろ向きになるんだけど、それでも各話の最後には一定の区切りを迎える・・一定の。
だから後が少しだけ残ってしまって、本当に余計なんだけど、話の前後考えたり、心配しちゃったりして先に進まない。
またそこが面白さなんだと思うけど、本当に進まなかった。